安曇野の白鳥

白鳥の便り
白鳥の飛来地

▲ 安曇野の玄関口である安曇野インターの出入り口に立つ巨大なステンレス彫刻像 (中嶋大道氏作)。街のシンボルにもなっています。

遠く4000キロ離れたシベリアからやって来て、犀川に降り立ち、冬を越す白鳥。
その姿は、安曇野の冬の風物詩となっています。

 

安曇野では豊科の犀川 (さいがわ) の白鳥湖、明科の御宝田 (ごほうでん) 遊水池 の2ヶ所が有名です。
それぞれ「アルプス白鳥の会」「御宝田白鳥の会」の方たちがボランティアの方の協力を得て、白鳥の管理・お世話をしています。

▲ 白鳥を謳った句「白鳥の発(た)つを待つとも惜しむとも」(蜻蛉子:せいれいし)
白鳥飛来の状況

1984年12月31日、5羽の白鳥が当時の豊科町田沢徳次郎の犀川ダム湖に初飛来しました。
この初飛来の年は56羽(コハクチョウ52羽、オオハクチョウ4羽)の飛来数が記録されています。
その後も安曇野への白鳥の飛来・越冬は毎年続き、約40年が経ちます。

白鳥の数は
初飛来から10年は500羽以下、その後は500羽以上が越冬しました。
ただし、一昨年は475羽、昨年は255羽と減少しています。
今年は2024年10月13日に初飛来が確認され、2月14日現在283羽が確認されています。

▼ 犀川の白鳥湖にある「白鳥観察館」
▼ 白鳥湖で泳ぐ白鳥


飛来数が最も多かったのは
2006年1月~2月に記録した 2,398羽 です。
日本海側が大雪のため、白鳥が南下したことが原因と思われます。

▼ 御宝田遊水池の様子

 

昨年は

2023年10月14日に、明科に初飛来しました。
2024年3月30日には、全羽無事に北帰しています。
その間、最高255羽が飛来しました。
これは、35年ぶりの300羽以下という飛来数が少ない年となりました。
暖冬の影響で新潟、山形など長野県以北の越冬地に雪が少なく、白鳥たちが安曇野まで南下しなくてもエサを十分に食べられたためと考えられます。

 

▲ 初飛来の1984年12月の飛来をNo1とし、1年毎に記録。
  No22 は2005年10月に飛来したときで2,398羽(最高)
  No40 は2023年10月に飛来したときで255羽

 

 

白鳥の行動

例年の白鳥の動き方を見てみます。
10月中旬には第一陣が飛来します。
飛来地で羽を休め、2月末から3月初めには北帰行していきます。
北へ飛び立った白鳥たちは、一旦北海道クツチャロ湖等に集結し、4月末から5月初めに北極圏東シベリアへ繁殖のために帰ります。
ツンドラ地帯の氷が溶ける6月上旬に数個の卵を産み、雛をかえして、6月末から10月初めに日本に渡って来ます。

※北帰行(ほっきこう)……温暖な地域で冬を過ごした渡り鳥が、北の繁殖地に移動すること。

 

 

追記

白鳥だけでなく鴨もたくさん見られます。水辺に棲む生き物とその環境に触れられることはとても貴重な財産だといえます。

▼ 御宝田遊水池で群をなす鴨

 

以前は、犀川白鳥湖、御宝田遊水池の2ヶ所以外でも、その周辺で白鳥の群が見られました。その時に撮影した写真が手元にありましたので載せておきます。

① 北穂高狐島の田んぼ
ここには2羽のコハクチョウ (フクちゃん、ピーちゃん) が保護されていて話題になりました。ピーちゃんは怪我で片翼を失い、仲間と共に空に飛び立つことはできませんでした。
お世話を続けたお爺さんもピーちゃんも亡くなり、今では白鳥が舞い降りることもなく、保護小屋もなくなって平地となっています。

▼ 北穂高狐島の田んぼ (2011年1月撮影)

 

②「アクアピア安曇野」前の畑に降りたこともあります。

▼ 白鳥湖近くの「アクアピア安曇野」前の畑 (2021年2月撮影)

 


2025年2月14日に撮影したデータで動画を作成してみました。
どうぞご覧ください。