穂高神社②

穂高人形


穂高神社では、本宮において毎年9月27日に「例大祭」が開かれますが、そこで注目されるのが御船祭に登場する大小5艘の船です。
そして、その船に飾られているのが穂高人形です。
今回は、穂高人形を話題にしてみます。

 

次の写真は、今年行われた御船祭(9月27日) に飾られた穂高人形です。

 

■ 御遷宮 (ごせんぐう)
遷宮とは、新しい清らかなところ(宮)に御神体を遷(うつ)すことです。
式年遷宮とは、一定の期間ごとに行う遷宮で、
20年に一度の「大遷宮祭」と、その間に2度 (7年目、6年目) 行われる「小遷宮祭」(御破損) があります。
大遷宮祭は本殿一殿を造り替えて、新しく清らかな本殿に御神体を遷します。
小遷宮祭は本殿を修理・清浄にして御神体を遷します。
最近ですと
  2009年 大遷宮祭
  2016年 小遷宮祭
  2022年 小遷宮祭
  2029年 大遷宮祭 (次回)

(遷宮については、また別の機会に詳しく紹介したいと思います。)

そして、遷宮祭を大きく盛り立てるのが「穂高人形飾り物」で、境内一帯が飾られます。
神社の境内の立木をそのまま利用して、等身大の人形をもって歴史的名場面や神話・民話等の場面が展示されるのです。


次の写真は、2009年の大遷宮祭の時に撮影したものです。


期間中に雨天の日もあったため、シートがかけられている場面もありました。

 

■ 御船会館

(穂高神社発行のガイドブック「歴史と風土 穂高神社」より)

 

JR穂高駅側鳥居より境内に入ってすぐに 御船会館 があります。

 

穂高人形について詳しく知ろうと御船会館に立ち寄りました。
安曇族の歴史について貴重な資料が展示されています。
そして、会館に入ってすぐに目を奪われたのが穂高人形です。
過去の式年遷宮や御船祭で奉納された人形たちが並んでいます。(撮影許可済)


(左)会館内 (右)「上田城の攻防 真田軍略に徳川軍敗退す」

(左)「上田城の攻防」 (右)「浦島太郎 竜宮城より帰る」

(左)(右)「日光泉小太郎 犀龍に乗り湖水を落す」

(左)「日光泉小太郎」 (右)「足柄山の金太郎」

(左)「竹取物語 かぐや姫 月に帰る場」 (右)「浦島太郎」

 

穂高人形飾物の特徴は
(1) 古くより受け継がれた伝統技術で素人によって製作する。
(2) 人物や動物の表情が豊か、又しぐさが躍動的で場面全体の構成がよい。
(3) 題材は神話・歴史・現代などあらゆる場面に及び、その範囲は広い。

とされています。


過去に奉納された御船2艘も展示されています。


(左)(右)「応仁の乱」

(左)(右)「司馬温公(しばおんこう)のかめ割りの場」

 

見る位置・角度によって、異なる表情や印象を得ることができます。
穂高人形は、古くから氏子の手によって大切に受け継がれてきました。
昔ながらの材料道具を用いて、素朴な技法で制作するのが特徴です。
穂高人形は県の無形民俗文化財に指定されています。

    ■■■ 補 足 ■■■

奉納される穂高人形は5つの場面で構成されます。
制作は「穂高人形・御船祭保存会」で、その主な団体は「一真会」「睦友社」「七星会」「健壮団」です。
御船会館の隣りの建物には「穂高人形研修館」があり、人形教室を開き、穂高人形飾り物制作の後継者育成に力を入れています。

2016年の小遷宮での5場面
「加藤清正の虎退治」「桜井の別れ」「上田城の攻防」「大阪夏の陣」「天孫降臨」
2022年の小遷宮での5場面
「関ヶ原の戦い」「本能寺の変」「犀龍と泉小太郎伝説」「忠臣蔵一ヵ茶屋」「一ノ谷の合戦」
今年の御船祭での5場面は、前回の記事を参照


尚、御船会館の2階には道祖神等の写真が多数展示されています。

 

穂高神社参拝の折に、御船会館に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。