日本神話

日本神話ストーリー

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 天地開闢 (てんちかいびゃく)

はるか昔、世界は混沌の中にあった。
初めて天と地が分かれたとき、高天原 (たかまのはら) と呼ばれる天上の世界に神々が現れた。
最初に現れた神が次の 造化三神 (ぞうかさんしん) ※1 であった。
  天之御中主神 (あめのみなかぬしのかみ)
  高御産巣日神 (たかみむすひのかみ)
  神産巣日神 (かみむすひのかみ)
その後、次々と神々が現れた。※2
その頃、地上はまだ水に浮かぶ油のように漂っていた。

※1
造化三神:三柱(みはしら) の神とも呼ぶ。神々を数えるときは「柱」を用いる。
※2
最初は男女の性別のない独神(ひとりがみ)であった。やがて、男女が対となった二神が現れる。

 

 国生み (くにうみ)

人間と同じ男女の性をもった夫婦神が現れた。
  伊邪那岐命 (いざなきのみこと)
  伊邪那美命 (いざなみのみこと)
2人は 天津神 (あまつかみ) ※1 から、いまだ漂う国土を固めるように委任された。
2人は天空に浮かぶ 天浮橋 (あめのうきはし) の上に立ち、天沼矛 (あめのぬぼこ) を海水に入れてかき混ぜた。
すると、矛(ほこ)の先から落ちた潮 (しお)が固まり、淤能碁呂島 (おのごろしま) ができた。日本最初の島※2である。
こうして、2人は日本の国土を次々に生み (国生み)、次に神々を生んだ (神生み)※3
最後に火の神※4を生んだときに、伊邪那美命は火傷をし、それが致命傷となって死者が住む 黄泉国 (よみのくに) へ旅立った。
伊邪那岐命は黄泉国に行き、妻に帰ってくるようにと懇願する。
伊邪那美命は黄泉国の食べ物を口にしてしまったので帰ることはできないと言う。
「私を見ないで」との約束を破り、伊邪那岐命が見たものは、醜く恐ろしい妻・伊邪那美命の姿であり、恐れをなして黄泉国から逃げ出した。

※1
天津神:高天原に現れた神々のこと。
※2
淡路島であるといわれる。
※3
『古事記』では35柱とあるが、実際には17柱の神名しか記されていない。
※4
迦具土神 (かぐつちのかみ)



 

 

 

 

 

 天岩屋 (あめのいわや)

伊邪那岐命は黄泉国で穢れ(けがれ)た身体を清めようとした。
(みそぎ)をするために、身に着けていた杖、帯、袋、衣類、冠、腕輪などを投げ捨てると、そこから様々な神々が生まれた。
そして、伊邪那岐命が
  左目を洗うと 天照大御神 (あまてらすおおみかみ)
  右目を洗うと 月読命 (つくよみのみこと)
  鼻を洗うと 須佐之男命 (すさのおのみこと)
が生まれた。三貴子 (さんきし) の誕生である。
天照大御神は太陽のように光り輝く最高神、月読命は満月のように美しい神、須佐之男命は荒れすさぶエネルギッシュな神であった。
天照大御神には高天原を、月読命には夜の国を、須佐之男命には海原を治めるように委任した。
しかし、須佐之男命は世を混乱させるばかりであったため、伊邪那岐命は須佐之男命を神々の世界から追放した。
須佐之男命は姉・天照大御神に別れを告げようと高天原に上がった。
しかし、須佐之男命は高天原で乱暴を働いたため、嘆いた天照大御神は天岩屋にこもって戸を固く閉ざしてしまった。こうして、高天原と 葦原中国 (あしはらのなかつくに) (地上の世界)は闇に包まれた。
思金神 (おもいかねのかみ) の発案で、天照大御神を天岩屋から外に出すことに成功した。この時、岩屋の入口の脇に隠れて、天照大御神の手を取って外に引き出したのが 天手力男神 (あめのたぢからおのかみ) であった。こうして、再び世界は照り輝き明るくなった。

 

      

 八岐大蛇 (やまたのおろち) 退治

須佐之男命は高天原から追放され、葦原中国の出雲 (いずも) の地に降りた。
そこでは、櫛名田比売命 (くしなだひめのみこと) 八岐大蛇に食べられそうになっていたが、須佐之男命は八岐大蛇を退治して救い出し※1、暴れ神から英雄となった。そして、須佐之男命は櫛名田比売命と結婚した。

※1
八岐大蛇を切り裂いた際、奇異な御刀(みと)が現れたので、それを須佐之男命は天照大御神に献上した。その御刀は、後に三種の神器の一つとして知られる草薙神剣(くさなぎのつるぎ)となる。

 

 大国主神 (おおくにぬしのかみ) の国造り (くにづくり)

須佐之男命の子孫である 大穴牟遅神 (おおあなむじのかみ) は、因幡国 (いなばのくに) で怪我をした白兎を助けた。
兄弟たちは因幡国の娘に求婚するが、娘は求婚を断り、大穴牟遅神との結婚を望んだ。そのため、兄弟たちの嫉妬を買い、大穴牟遅神は命を狙われ、須佐之男命の住む国に行く。そこで、須佐之男命の娘である 須世理毘売 (すせりびめ) と恋に落ちた。須佐之男命はさまざまな試練を大穴牟遅神に与えるが、須世理毘売の助けもあって、からくも窮地を乗り越えた。
須佐之男命は大穴牟遅神に「須世理毘売を正妻とし、葦原中国を支配する 大国主神 と名乗るがよい」と告げる。こうして大国主神は葦原中国を統治し、国造りに着手して完成させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 大国主神の国譲り (くにゆずり)

天照大御神は、葦原中国を自分の子孫に治めさせようと考えた。
大国主神に国を譲るよう交渉するが、説得は難航した。
天照大御神の使者である勇猛な 建御雷神 (たけみかずちのかみ) が、大国主神に国譲りを迫った。
大国主神の息子である 建御名方神 (たけみなかたのかみ) は承服せず、建御雷神に力競べを挑んだ。
建御雷神は建御名方神を投げ倒し、敗走する建御名方神を信濃国の諏訪まで追いつめた。※1
そして、二度とその地から出ないこと、天照大御神に国を譲ることを誓わせた。
大国主神は、出雲に宮殿※2 を建てて住むことを条件に国を譲った。

※1
この建御名方神を諏訪の地で祀るのが、分社数五千社を超える諏訪大社である。
※2
現在の出雲大社である。

 天孫降臨 (てんそんこうりん)

天照大御神の孫である 迩迩芸命 (ににぎのみこと) が、葦原中国を統治するため 日向 (ひなた)高千穂峰 (たかちほのみね) に降臨した。
この時、天照大御神が授けたのが、稲穂と三種の神器 (じんぎ) であった
  草薙剣 (くさなぎのつるぎ)
  八咫鏡 (やたのかがみ)
  八尺瓊勾玉 (やさかにのまがたま)
迩迩芸命は美しい乙女である 木花佐久夜毘売 (このはなのさくやびめ) と出会い結婚する。※1

※1
:その際に、一緒に姉の石長比売 (いわながびめ) も送られてきたが、大変醜かったため、姉だけ送り返した。妹の木花佐久夜毘売には花のような繁栄、姉の石長比売には岩のような永遠の命が約束されていたが、姉を返したことにより、天皇の寿命は限りあるものとなった。



 

 

 

 

 

 海幸彦と山幸彦

迩迩芸命の子が
  火照命 (ひでりのみこと) 海幸彦 (うみさちひこ)
  火遠理命 (ほおりのみこと) 山幸彦 (やまさちひこ)
山幸彦は兄の海幸彦から借りた釣り針を海中になくしてしまった。
山幸彦は海幸彦に許しを乞うが許してもらえない。
山幸彦は海神・綿津見神 (わたつみのかみ) の宮へ行き、その娘の 豊玉毘売 (とよたまびめ)   と出会い結婚した。
釣り針は見つかるが、山幸彦と海幸彦の争いは続き、ついには海幸彦は山幸彦に服従した。
こうして、山の神と海の神の娘が結婚することになり、二人の間に 鵜葺草葺不合命 (うがやふきあえずのみこと) が生まれるが、山海両方の霊力を得ることとなった。

 

 
 神武天皇 (じんむてんのう) の即位

山幸彦の孫・神倭伊波礼毘古命 (かむやまといわれびこのみこと) は、葦原中国を平和に治めるためのふさわしい地を求めて、日向を出て東に遠征した。
大和に入り、橿原宮 (かしはらのみや) で初代天皇・神武天皇として即位した。
これより神々の時代から人間の時代になった。

 

 

 倭建命 (やまとたけるのみこと) の遠征

12代 景行天皇 (けいこうてんのう) の皇子・倭建命 は、草薙神剣 (くさなぎのつるぎ) を携えて東西を奔走。
数々の苦難に遭いながら平定していった。